つっこみ力

つっこみ力 (ちくま新書 645)

つっこみ力 (ちくま新書 645)

数年前から好きでネットにて楽しく読んでいる「反社会学講座」。
その著者による新書です。
経済や社会を逆サイドから見て漫談にする、例によって例の内容ですが、
今回は「世の中を面白くするためにはつっこみ力が必須!」と言っております。
この本ずるいのは、上記のようなことを1冊かけて言っておきながら
漫談だからつっこみ無用(真面目じゃない本書につっこむのは野暮)といわば逃げていることです。
ま、この本は「世の中斜めに見ると面白い」程度のことが認識できれば成功というところなのでしょう。
そういうわけで読んでいるうちにだまされたような気分になりつつも
やっぱりそれなりに面白いんですよ。
最後の「家屋が資産じゃないから云々」のところは、
漫談抜きにしても確かにと思わせる内容だったし、
頭のいい人がシステム論に走りがちな理由も納得だった。
最終的なまとめが「ふれあい社会を作ろう」的だったのは
なんだか論旨が定まらない気がしたけど、
それはそれでひとつの意見としては賛成な部分もある。
確かに大元をなんとかしようとしてマクロばかりなんとかしようと思うことはあるけど、
ミクロな、例えば会社でいえば隣の部署の人にもおはようの挨拶をするとか、
そういうほんとに小さいことが実は
何かをしようと思ったときに生きてくることって絶対あるのよね。
ただ、それって否定できないしこの本で言うのはずるくないでしょうかね?
身にしみて反省しつつも納得いかないものを残した新書だった。